液晶事業の中でも、反省を踏まえた取り組みが進む。”IGZO頼み“からの脱却である。IGZOはシャープ独自の液晶パネル。低コスト、省エネ、高精細さ
を備えた戦略商品だ。経営危機の最中、奥田隆司社長(当時)は「IGZOがシャープを救う技術だ」と、液晶復活の牽引役としてIGZOに期待した。
しかし、IGZO頼みが続いた結果、生産工場である亀山第2工場の稼動が伸び悩んだ。シャープはIGZO液晶を当初、「アイパッド」向けに供給した。しかし需要の変動に翻弄され、ノートパソコン向けなど他の客先への出荷は思うように伸びなかった。
「うちにはIGZOがあるから勝てると勘違いしていた」――。デバイス部門の多くの社員は当時、自社技術にあぐらをかいていたことを自戒する。「ほんと
うは、お客さんから見たら、IGZOだろうが何だろうがよかった。要求に合わせ、いろんな提案をできれば、それでよかったのに、わかっていなかった」。
今、シャープ亀山工場ではスマートフォン向けIGZOが量産されているが、ニーズに応じ、他の種類の液晶パネルも量産できるよう、生産体制を整えてい
る。「亀山は4インチから9インチまで、(低コストの)アモルファス液晶からIGZO液晶、(高精細の)CGシリコン液晶まで、何でもつくれるのが強み」
(亀山第二生産センター・木村直史所長)
”IGZOが強み”の液晶パネルメーカーから、”ラインナップが強み”のメーカーへ。危機を踏まえたシャープの転身の試みである。
もう一つ、経営危機の反省が、冒頭に方志専務が述べた「大きなところ」(大口顧客)への依存脱却だ。経営危機の最中、シャープはアイフォーン、アイパッ
ドなど米アップルの需要に翻弄された。今、シャープの亀山第2工場の稼動率向上に寄与しているのは、アップルに限らない。中国のZTE(中興通訊)、シャ
オミ(小米)・・・・・・。成長著しい、中国の新興スマホメーカーだ。「特定の顧客に依存して、ある時期からどこにお客さんがいるか、情報のアンテナが
偏ってしまった。その感度を上げようと、中国など現場を走り回った」(梅本室長)。
シャープはアップルという大口顧客への依存状態から脱し、新興国の幅広い需要を取り込もうと躍起になっている。全事業の中での液晶パネル事業、液晶パネル
の中でのIGZO液晶、取引先の中での米アップル…・・・。シャープが今、“脱却”しようと試みているのは、これまでのシャープの強みと、その強みを発揮
できる場所である。市場の変化に合わせて、自社の強みを見直す――。シャープが特別なわけではない。同社が直面している課題は、多くの企業が抱える課題と
共通点が多いといえるだろう。taobao
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